「自分がいなければこの会社は回らない」という社員の自負は素晴らしいものですが、
経営の視点で見れば、それは「属人化(ぞくじんか)」という名の時限爆弾を抱えているのと同じかもしれません。
こんにちは、社会保険労務士の櫻井です。
「中小企業経営110番byベネフィット」では、日々、経営・労務の現場で起こる「困った」の解決法をお伝えしています。
今回は、多くの経営者が薄々感じながらも目を背けがちな、「給与計算のブラックボックス化」がもたらすリスクと、その解消法についてお話しします。
1.突然訪れる「経営停止」の瞬間
先日、あるお客様から悲鳴のようなお電話をいただきました。
「給与担当のベテラン社員が急に入院してしまった。締め日は明日なのに、計算ルールもパスワードもその人にしか分からない。どうすればいいんだ!」
という内容でした。
中小企業では、一人の担当者が長年給与計算を一手に引き受け、中身が完全にブラックボックスになっているケースが非常に多いのが実情です。
「信頼して任せていた」結果、その人がいなくなった瞬間に、誰の手にも負えないパニック状態に陥ってしまうのです。
「あの人がいないと会社が止まる」状態は、一見その社員が優秀に見えますが、経営管理としては極めて危険な状態と言わざるを得ません。
2.2026年、給与計算は「素人」の手に負えなくなっている
特に2026年現在は、深刻な人手不足の中にあります。
「条件の良い他社へ移る」という退職リスクは、どんなに良好な関係を築いている社員であっても、常に隣り合わせです。
さらに、法改正のスピードも加速しています。
- 健康保険料率の改定
- 「子ども・子育て支援金」の徴収開始
こうした次々と訪れる変更に対し、属人化した現場では「これまでのやり方」が通用しなくなっています。
担当者が過去の知識のまま間違った計算を続けていた場合、その人が辞めた後に数年分のミスが発覚し、数千万円の遡及支払いに発展するケースも、私たちは実際に耳にしています。
3.「仕組み」で守る。アウトソーシングという賢い選択
このリスクを断ち切る唯一の解決策は、個人に依存しない「仕組み化」です。
具体的には、給与計算の外部委託(アウトソーシング)を活用することを強くお勧めします。
「社内の誰か」ではなく「プロの組織」に任せることで、以下のようなメリットが得られます。
- BCP(事業継続)の確立:担当者が休んでも辞めても、給与は止まりません。
- コンプライアンスの強化:最新の法改正に基づいた正確な計算が保証されます。
- 経営者の精神的安定:毎月の振込日前に「本当に大丈夫か?」と不安になる夜がなくなります。
社長の肩の荷を下ろすために
特定の個人への依存は、常に「経営停止」のリスクを孕んでいます。
法改正が激しい今こそ、ブラックボックス化した業務を整理し、「攻めの対策」を講じるべきタイミングです。
ベネフィットグループでは、単なる計算作業の代行だけでなく、属人化を解消するための業務整理からサポートいたします。
「うちの計算は特殊だから……」と諦める前に、まずは一度、お気軽にご相談ください。
社長が本業に集中できる、強い会社づくりを共に進めていきましょう。
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投稿者プロフィール
- ■ 櫻井 智(さくらい さとし)
社会保険労務士/労務・人事の専門家
2017年にベネフィットグループに参画。
労務管理・社会保険・人事制度設計を中心に、
中小企業の「人」に関わる問題を数多く解決してきた。
櫻井の加入により、ベネフィットのサービスはより実践的で厚みのあるものとなっている。




