【解雇トラブル】「能力不足の社員」は解雇できない!?大企業の判例に学ぶ、中小企業が生き残るための絶対条件

こんにちは、社労士の櫻井です。

「大企業なら余裕があるから『能力不足』でも雇い続けられるだろうけど、うちは数人の精鋭で回している。
一人でも足手まといがいれば、会社が潰れてしまうんだ。
だから期待外れの社員は即刻クビにしたい……」

日々、経営現場の最前線にいる社長様から、このような切実な声をよく伺います。
中小企業にとって、一人の能力不足が死活問題であることは間違いありません。

しかし、日本の法律は非常に残酷です。実は、「大企業も中小企業も、解雇のハードルはほぼ同じ」なのです。

今回は、大企業が完敗した伝説の判例を紐解きながら、中小企業が自社を守るための「具体的な武器」についてお話しします。

成績最下位でも「解雇無効」?伝説の判例の衝撃

解雇トラブルを語る上で避けて通れないのが、「セガ・エンタープライゼス事件」です。

この事件では、会社側が「人事考課で下位10%に入り、改善の見込みがない」という理由で解雇を断行しました。

中小企業の感覚からすれば「そこまで低いなら仕方ない」と思えるレベルかもしれません。

しかし、裁判所の判断は「解雇無効」でした。

その理由は、単に「平均に達していない」だけでは不十分であり、
「著しく能力が低く、かつ教育も配置転換もやり尽くして、それでもどうしようもない場合」
でなければ認められないという、非常に厳しいものでした。

ここで恐ろしいのは、裁判所では「うちは忙しいから教育する時間なんてない」という中小企業の言い訳は通用しないということです。

「教える努力をしたか、そのルールが明確か」が等しく問われるのです。

「ネットで拾った就業規則」が会社を滅ぼす理由

大企業のように教育や異動を繰り返す余裕がない中小企業は、どうすれば良いのでしょうか。

その鍵を握るのが、「自社専用の就業規則」です。

裁判で負ける中小企業の多くは、ネットから拾った「大企業向けの雛形」をそのまま使っています。
雛形には「能力が著しく低い場合」といった抽象的な言葉しか書かれていません。

しかし、中小企業は一人二役、三役が当たり前の現場です。

  • 「この業務が、どのレベルで遂行できない場合に能力不足とみなすのか」
  • 「自社の現場において、最低限必要なスキルは何なのか」

これらを、自社の実態に即して具体的に書き込んでおく必要があります。
大企業とは異なる「求められる能力」を、ルールとして定義しておくことが最大の防御になります。

感情で動かず「プロセス」で守る

「セガ事件」最大の教訓は、「いきなり解雇は100%負ける」ということです。

中小企業が勝てる唯一の方法は、就業規則に基づき「改善のチャンスを与えた」という証拠を積み上げることです。

「ルールに沿って3ヶ月指導したが、改善されなかった」という客観的なプロセスを明文化し、実行する。この誠実な対応こそが、万が一訴えられた際の最強の盾となります。

「うちは小さいからルールは後回し」という考えこそが、一番の倒産リスクです。

ベネフィットグループでは、中小企業の現場を知り尽くしたプロが、御社をトラブルから守る「オーダーメイドの就業規則」を作成しています。
「今の規則で、あの社員に対応できるだろうか?」と少しでも不安を感じたら、問題が起きる前にぜひご相談ください。

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投稿者プロフィール

櫻井智
櫻井智
■ 櫻井 智(さくらい さとし)
社会保険労務士/労務・人事の専門家

2017年にベネフィットグループに参画。
労務管理・社会保険・人事制度設計を中心に、
中小企業の「人」に関わる問題を数多く解決してきた。
櫻井の加入により、ベネフィットのサービスはより実践的で厚みのあるものとなっている。