【この記事の要約】
2026年4月にベースアップや定期昇給を実施する企業は要注意です。
基本給を上げても給与ソフトの「残業単価」の更新を忘れると、意図せず未払い残業代が発生します。
さらに今月は「子ども・子育て支援金」の徴収開始など実務が複雑化するため、設定ミスを防ぐポイントを社労士が解説します。
こんにちは、社会保険労務士の櫻井です。
本日は、4月給与で絶対にやってはいけないミスのお話をします。
社員の給与を上げたのに、それが法律違反につながってしまうケースをよく見かけます。「給与ソフトを使っているから大丈夫!」と思っている経営者や総務担当者の皆様、その油断が命取りになります。
昇給したのに法律違反?「基本給アップ」に潜む未払い残業代の落とし穴
2026年4月、物価高への対応などで思い切って全社員のベースアップを決断された企業様も多いでしょう。しかし、現場では「基本給は上げたけれど、残業代の計算が去年の単価のまま計算されていた」というパニックが起きています。
「給与ソフトに基本給を打ち込めば自動で全部変わる」と思い込んでいると、一番怖い「未払い残業代」の発生パターンに陥ってしまいます。
給与ソフトは「残業単価」まで自動計算してくれない?
給与ソフトの中には、基本給のマスターを書き換えても、残業手当の計算式に含まれる「時給単価」を別で更新しなければいけないものがあります。
もしここを忘れると、社員さんからすれば「基本給は上がったのに、残業代が安く計算されている!」ということになり、立派な労働基準法違反になってしまいます。
「基本給は上げたのに、残業代の設定を忘れた」たったそれだけで、労基署からの是正勧告に化けてしまうのです。昇給の金額が大きいほど、単価の計算ミスによる未払い額も当然膨らみます。
マネーフォワード等のクラウド給与ソフトなら安心ですか?
最近は「マネーフォワードクラウド給与」などのITツールを導入し、「これなら安心だ」とお考えの社長様も多いようですが、実はそれが落とし穴なんです。
適用日と履歴管理の「設定の沼」に注意
確かにマネーフォワードなどは高機能ですが、だからこそ「設定の沼」が存在します。
たとえば、基本給の変更を「いつの給与から反映させるか」という履歴管理の設定です。これを「4月支給」から変えるのか、「4月分(5月支給)」から変えるのかという適用日の設定を誤ると、過去分まで遡及計算されたり、逆に適用が漏れたりしてしまいます。
さらに、勤怠管理システムと連携している場合、締め日の設定一つで、新しい基本給と古い残業時間が混ざって計算されるトラブルも起きます。IT化は便利ですが、初期設定を間違えると、間違った計算を毎月全自動で繰り返すことになってしまいます。
2026年4月給与の実務を直撃する「トリプルパンチ」とは?
そして今月は、昇給(残業単価の変更)以外にも対応事項が山積みです。2026年4月は、次の3つが同時に襲ってきます。
- 「健康保険料率」の変更適用
- 新制度「子ども・子育て支援金」の徴収開始
- 社会保険料を決める「算定(4・5・6月)」の開始
特に「子ども・子育て支援金」は、今月から給与明細に新しい項目が増えるため、設定をミスすると大変です。
さらに、この4月・5月・6月の給与(残業代込み)で、向こう一年間の社会保険料が決まります。「昇給」+「残業代の単価アップ」+「支援金の開始」が重なる今月、正しく計算できているかどうかは、会社への信頼に直結します。
専門家へのご相談で、確実な「守り」を
まとめますと、以下のポイントを必ず確認してください。
- 昇給したら、給与ソフトの「残業単価」が新しい基本給と連動しているか必ずチェックする。
- クラウド給与の設定は、適用日や履歴管理の「沼」にハマらないよう専門家の目を通す。
- 今月からの「子ども・子育て支援金」の徴収設定も、漏れなく実施する。
「自分たちで設定するのはもう限界だ!」と思った方は、ぜひお早めにご相談ください。
ミスが許されない4月給与だからこそ、システムの初期設定や法改正対応はプロに任せ、経営者は本業に集中できる環境を整えるべきです。
ベネフィットグループでは、マネーフォワード等の初期設定から、法改正に対応した給与計算代行まで丸ごとサポートしています。「お祝いで上げた給料」をトラブルの種にしないために、私たちが正確な計算という「守り」を固めます。
それでは、今日も――“強い会社づくり”を続けていきましょう。
【動画】【4月給与の落とし穴】「基本給アップ」で未払い残業代が発生!?会社が確認すべき給与ソフトの設定
投稿者プロフィール
- ■ 櫻井 智(さくらい さとし)
社会保険労務士/労務・人事の専門家
2017年にベネフィットグループに参画。
労務管理・社会保険・人事制度設計を中心に、
中小企業の「人」に関わる問題を数多く解決してきた。
櫻井の加入により、ベネフィットのサービスはより実践的で厚みのあるものとなっている。




