2026年春、給与計算は「二段階ショック」に備えよ
2026年2月。社労士事務所には、例年以上に緊張感が漂っています。
理由は明確です。
今年の春は、給与計算担当者にとって「二段階の制度変更」が同時に押し寄せるからです。
- 3月:健康保険料率の改定
- 4月:子ども・子育て支援金の徴収開始
どちらも「うっかりミス」が許されない改定です。
設定を1つ間違えるだけで、全社員分の差額調整という“地獄”が待っています。
本コラムでは、2026年春の給与計算で絶対に外してはいけないポイントを整理します。
第一の山場|3月「健康保険料率」改定
毎年恒例とはいえ、最も混乱が起きやすいのがこのタイミングです。
いつの給与から変えるのか?
健康保険料率は「3月分」から改定されます。
しかし、ここで必ず確認すべきなのが――
- 自社は「翌月徴収」か
- それとも「当月徴収」か
という点です。
■翌月徴収の場合
→ 3月分を4月支給給与から天引き
→ 4月支給分から新料率を適用
■当月徴収の場合
→ 3月支給分から新料率を適用
この1ヶ月の違いが命取りです。
給与計算ソフトの設定変更を誤れば、
- 全社員分の再計算
- 差額の返金・追加徴収
- 社員からの不信感
という三重苦が発生します。
さらに、介護保険料率も同時に変わるケースが多く、ダブルチェックは必須です。
第二の山場|4月開始「子ども・子育て支援金」
2026年春の本命がこちらです。
新たに0.23%が上乗せ
2026年度の料率は
- 0.23%(労使折半)
- 本人負担:0.115%
- 会社負担:0.115%
形式上は「支援金」ですが、実務では健康保険料に上乗せして徴収されます。
最大の落とし穴は“徴収タイミング”
支援金は「4月分」から発生します。
つまり、翌月徴収の会社では――
- 4月支給:健康保険料率変更
- 5月支給:支援金の徴収開始
2ヶ月連続で設定変更が必要になります。
この連続作業こそが、2026年最大のリスクです。
想定されるミスは以下の通りです。
- 4月から支援金を引いてしまう
- 5月に料率変更を忘れる
- 明細項目を更新しない
- システム任せで確認を怠る
「ソフトが自動でやってくれるだろう」
という油断が、最大の敵です。
第三の論点|従業員への説明責任
計算ミスと同じくらい重要なのが、説明責任です。
2026年春は、
- 健康保険料率の改定
- 支援金の新設
が重なり、手取り額が確実に変動します。
「手取りが減った」の不信を防ぐ
社員からの質問で最も多いのは、
「今月、なぜ手取りが減ったのですか?」
というものです。
支援金については、SNSなどで「独身税」といった誤解も広がっています。
会社として事前に通知を出し、
- 法改正による一律徴収であること
- 会社も同額を負担していること
- 明細上の表示方法
を説明しておくことが重要です。
明細を
- 健康保険料と合算表示するのか
- 支援金を別項目にするのか
社内方針を決めておくことも、実務上の大切な判断です。
2026年春、経営者がやるべき3つの確認
最後に、必ず押さえておくべきポイントを整理します。
✔ ① 徴収方法(当月・翌月)を再確認
✔ ② 4月・5月の設定変更スケジュールを明確化
✔ ③ 社員への事前通知を準備
給与計算は、単なる事務作業ではありません。
会社の信頼を守る「守りの要」です。
無理をしないという選択
法改正は毎年あります。
しかし2026年春は、明らかに負荷が高い年です。
- 料率改定
- 新制度追加
- 明細変更
- 社員説明
これをすべて内製で抱えるのか。
それとも専門家に任せ、本業に集中するのか。
経営判断が問われる局面です。
給与計算は「間違えなければ評価されない仕事」です。
だからこそ、ミスの許されない分野でもあります。
2026年春、二段階ショックを乗り越える準備はもう始まっています。
「強い会社づくり」は、正確な給与計算から始まるのです。
【動画】【2026年最新】給与計算の激震!3月の料率変更と「新・支援金」の落とし穴
投稿者プロフィール
- ■ 櫻井 智(さくらい さとし)
社会保険労務士/労務・人事の専門家
2017年にベネフィットグループに参画。
労務管理・社会保険・人事制度設計を中心に、
中小企業の「人」に関わる問題を数多く解決してきた。
櫻井の加入により、ベネフィットのサービスはより実践的で厚みのあるものとなっている。




