社会保険料逃れは違法?国保から社保へ「低額報酬スキーム」のリスクと罰則を徹底解説

国保逃れは“節税”か“脱法”か――経営者が踏み越えてはいけない一線

最近話題になった、いわゆる「社会保険料の闇」

高額な国民健康保険(国保)を回避するために、別法人で低額報酬を設定し、社会保険に加入していたという問題です。
実はこの手法、美容室オーナーや個人事業主の方からも、昔から相談を受けるテーマの一つでした。

しかし、私ははっきり言います。

これは“節税”ではありません。脱法行為です。

国保の請求書を見て「高すぎる!」と叫びたくなる気持ちは、経営者として痛いほど分かります。
それでも、一線を越えれば、その代償はあまりにも大きいのです。

国保逃れの仕組みとは何か?

問題となる手口は、非常にシンプルです。

  1. 個人としては高所得
  2. 本来は収入に応じて高額な国保を支払う立場
  3. しかし、別に会社を設立
  4. その会社から“月数万円”の低額報酬を設定
  5. その報酬を基準に社会保険へ加入

社会保険料は「報酬額」によって決まります。
つまり、意図的に報酬を低く設定すれば、保険料も低く抑えられるという理屈です。

一見、制度をうまく使っているように見えるかもしれません。

しかし実態は――

個人としての高額な国保負担を、実態のない低額報酬にすり替えているだけ

ここに本質があります。

「会社を作って社保に入っているのだから合法だ」と思い込んでいる方もいますが、
形式だけ整えても、実態が伴わなければ通用しません。

2026年、調査はどこまで進んでいるのか?

よく聞かれるのがこの質問です。

「2026年の今、マイナンバーで全部バレるんじゃないですか?」

結論から言えば、

  • 自動的な一斉摘発が常時行われているわけではない
  • しかし、本気を出せば調査は可能な状態にある

というのがリアルです。

年金事務所や関係機関が、

  • 法人の決算書
  • 個人の確定申告
  • 報酬額の推移

これらを突き合わせれば、不自然な報酬設定はすぐに浮き彫りになります。

つまり、

「まだ見られていない」だけで、データは揃っている

この状態だと認識すべきです。

バレた場合の“地獄”

「差額を払えば済むんですよね?」

そう考えている方も多いのですが、現実は甘くありません。

■想定されるリスク

  • 最大2年分の遡及支払い
  • 延滞金
  • 行政処分
  • 虚偽届出に対する罰則(罰金・懲役の可能性)

健康保険法・厚生年金保険法には、明確な罰則規定があります。

さらに怖いのは、お金の問題だけではありません。

  • 経営者としての信用失墜
  • 取引先からの信頼低下
  • 金融機関評価の悪化
  • 地域での風評リスク

一度「脱法行為の社長」というレッテルが貼られれば、事業そのものが立ち行かなくなる可能性すらあります。

私たちが提案する「正攻法」

保険料を「安く済ませる」ことばかり考えるのは、経営のコックピットを誤作動させる行為です。

私たちが提案するのは、怯えながら続けるグレーな手法ではありません。

■堂々と胸を張れる最適化

  • 役員報酬の適正シミュレーション
  • 企業型DC(確定拠出年金)の活用
  • 旅費規程の整備
  • 制度に基づいた合法的な最適化

これらはすべて、
ルールの中で最大限のメリットを取る方法です。

不安を抱えながら経営するのか。
安心して本業に集中するのか。

選ぶべき道は明らかです。

結論:近道に見える道ほど、崖に近い

国保逃れスキームは、一見“賢い選択”に見えるかもしれません。しかしそれは、足場の不安定な崖道を歩くようなものです。

経営者に必要なのは、

  • 目先の保険料削減ではなく
  • 長期的な信用と持続可能性

怪しいスキームを勧められている。
今の設定が不安だ。

そう感じた時点で、すでに黄色信号です。

強い会社は、土台から強い。
堂々と説明できる経営こそが、最大のリスク対策なのです。

今日も、正しいコックピットで――
強い会社づくりを続けていきましょう。


【動画】【緊急】維新議員の「国保逃れ」はなぜアウト?美容室オーナーもやりがちな“禁断スキーム”の末路

投稿者プロフィール

田崎裕史
田崎裕史
■ 田崎 裕史(たさき ひろぶみ)
税理士/ベネフィットグループ代表

池袋に事務所を構える税理士。
大学卒業後、大手食品総合商社に勤務するも、入社した会社が事実上倒産するという経験を通じて、「絶対に会社をつぶしてはいけない」という強い想いを持ち、税理士の道へ。
自らも中小企業経営を行う経営者として、
中小企業全般の経営改善・仕組み化・IT化・バックオフィス支援に力を入れている。
信念は「中小企業こそ、強くなれる」